明日から「臨床実習代替教育」として数回シリーズで、理学療法学科4年生に「キャリア教育」について、週1で話をすることになり、僕なりの思いを込めた内容になったので、皆さんにも情報共有しようと思います。あなたの次のキャリアに向けた内容になると思うので、是非最後まで読んでくださいね!
1.キャリアの概要
キャリアに関する研究は 1900 年代初頭にアメリカ人のフランク・パーソンズによって始め られています。当時のアメリカ社会の情勢を背景にして、キャリアと言う言葉が生まれました。
職業指導に携わっていたパーソンズは、元祖キャリアカウンセラーと呼ばれている人物で、何度も転職を繰り返す人々に注目し、その原因は技能不足ではなく、場当たり的な職探しをしていることが原因であることに気付きました。
そして、1909年に「特性因子理論」を発表しました。この理論は、個人の特性と職業の特性が一致すると皆がハッピーになれるし、両者はマッチングさせていくべきだという理論であり、キャリア開発という概念は、当初、職業指導による個人から個人へのアプローチという形でから始まったということになります。
キャリア教育の発展という視点からキャリアを眺めると、第2次世界大戦後というおとになります。復員軍人がほとんど公務員となり、これが当時大問題となります。これを改善するために、連邦政府は「Career Development Program」を発令し、シャインのキャリア教育をサポートすることで必要な人材を育成しようとしました。個人のキャリアを積極的に実現することでが、組織の発展につながると考えたわけです。
2.キャリア教育発展の背景
アメリカは1790年頃は人口が400万人程度でした。それが1900年には7600万人、2000年には2億8100万人、2007年には3億人を突破しました。1900年から1910年までの10年間が、アメリカへの移民のピークであり、人口が急激に増加していく時代でした。
「急激な経済成長により都市部に集中した労働者を、より効率的に適職に導く」という社会的課題の解決を企図してキャリアは開発されたと考えられています。
そのような中で、パーソンズは1905年に職業選択や就職のアドバイスをする活動を始めたのが、キャリアカウンセリングのはじまりだと言われています。1907年には「職業指導事務所」を設立し、1908年には「職業指導局」を正式に開設し、活動を本格化させていきました。
そして1909年には、「Chooseing a vocation(職業の選択)」という著書を発表し、その中で特性因子論を説きました。この本にある彼の名言には以下のようなものがあります。
「丸いクギは丸い穴に!四角いクギは四角い穴に!」
この『パーソンズの職業選択の特性因子論』は3つの要素で成立しています。
①個人は、必ず他の人とは違う能力(Capability)、または特性を持っている。しかもこの能力・特性は測定が可能である。
②個人は、自分の能力・特性にもっとも相応しい職業を選択する。
③個人の能力・特性と職業に求められるスキルが一致すればするほど、個人の仕事における満足度は高くなる。
このようなことを思考しながら、キャリアの開発は進み、発展していくことになります。
3.「キャリア」についての現代の理論
1900年初頭にパーソンズによりスタートしたキャリアに対する思考は、その後大きく発展することになります。僕の中での3大巨頭を以下に示します。
一人目は、ダグラス・T・ホール(ボストン大学)です。彼の提唱した理論は、「プロティアン・キャリア」と呼ばれており、アダプタビリティ(柔軟に適応する意志)とアイデンティティ(左右されない価値観)の2つが根幹を作っています。
「キャリアとは、生涯にわたる期間において、仕事に関する諸経験や諸活動と結びついており、個人的に知覚された一連の態度や行動である」(Hall,2002)と提唱しました。
二人目は、ジョン・D・クランボルツ(スタンフォード大学)です。彼の提唱した理論は、「プランド・ハップンスタンス・セオリー」であり、「個人のキャリアの80%は予想していない偶発的なことによって決定される」とし、偶然をステップアップ、キャリアアップの機会に変えていけることを提唱しました。
三人目は、エドガー・H・シャイン(マサチューセッツ工科大学)です。彼の提唱した理論は、「キャリア・アンカー」です。これは、「ある人物が自らのキャリアを選択する際に、最も大切な(どうしても犠牲にしたくない)価値観や欲求のこと。また、周囲が変化しても自己の内面で不動なもののこと」を大切にすることを提唱しました。
4.シャインの「キャリア・アンカー」
ここでは、明日の講義でメインに話す内容であるシャインの「キャリア・アンカー」について解説します。
著書『キャリア・アンカー』の中で、キャリアについて「8つの基本的な種類」に分類し、そのどれにあたるのかを定めてキャリアについて思考するボトムスとしようという内容です。この本の中には、以下の8つが紹介されています。
①専門能力志向:自分の専門性や技術が高まること
②経営管理志向:組織の中で責任ある役割を担うこと
③自律(立)思考:自分で独立すること
④安定志向:安定的に1角組織に属すること
⑤起業家志向:クリエイティブに新しいことを生み出すこと
⑥社会貢献志向:社会を良くしたり、他人に奉仕したりすること
⑦チャレンジ志向:解決困難な問題に挑戦すること
⑧調和志向:個人的欲求と家族・仕事のバランスを大事にすること
ちょっとあなたのことを思ってください。あなたは、どれにあてはまりますか?
また、これらは以下の3つの項目から支えられています。
①コンピタンス:自分は何が得意なのか?
②動機:どんな仕事をしたいのか?
③価値観:何に意味や価値を感じるか?
先のキャリアについて「8つの基本的な種類」に分類をもう少し具体的な職業に当てはめてみると、以下のようになります。
①専門能力志向:スペシャリスト(専門・職能別コンピタンス)
②経営管理志向:マネージャー(全般管理コンピタンス)
③自律(立)思考:フリーランス(自律・独立)
④安定志向:大企業・公務員(保障・安定)
⑤起業家志向:ベンチャー企業の社長(起業家的創造性)
⑥社会貢献志向:ホスピタリティ・ボランティア(奉仕・社会貢献)
⑦チャレンジ志向:チャレンジャー(純粋な挑戦)
⑧調和志向:ワーク・ライフ・バランス(生活様式)
5.キャリア・アンカーの具体的な展開
4.に提示した「8つの種類」から自分のキャリア・アンカーがわかったら、それに基づいて会社選びをすればいいということになります。単純に業界や職種などで選ぶより、その企業でイキイキ働ける可能性が、間違いなく高くなるはずです。
どのようなタイプの人が集まっている会社なのか、キャリア・アンカーを視点に会社をチェックしてみることをオススメします。興味深い内容が情報収集できるかも知れません。特に経営理念の部分をよく読んでください。ここにどのキャリア・アンカーとよく似た内容のことが書かれているか、じっくり読み込むべきなのです。それだけで終わるのではなく、可能であれば、先輩がどんな気持ちで、どのような内容の仕事に取り組んでいるのか、それは果たして入社時に希望していた内容なのかなど、インタビューしてみることもオススメします。この情報はある意味「生の声」なので、あなたの迷いを一気に吹き飛ばしてくれる情報になるはずです。
これらの結果、その企業があなたのキャリア・アンカーと同じような経営理念を持っているのであれば、まさにその会社はあなたにとってピッタリの会社ということになります。もうおわかりだと思いますが、このような情報を入手した会社であれば、志望動機も自己PRも、あなたのキャリア・アンカーを基に書けばいいということになります。いかがですか。
6.就活におけるキャリア・アンカーの「3つの問い」
キャリア・アンカーでは、就職活動時には以下の「3つの問い」をとても大切にしています。
①できること:そんなにこだわらなくても、入社後にできるようになればいいこと。
②やりたいこと:こだわっても外れる可能性が高く、また変わることも多いこと。
③すべきこと:これが外れると自分らしく働けないし、ここだけは外せないこと。
シャインも以下のように述べています。
「できることはあまり考えなくてよい。なぜなら、まだ仕事をしていないので入社後学べばよい」
これって納得できますよね。しかし、ここで悩んで本当にすべきことに持ち込めない人たちがいることも事実です。このフレーズを素直に認識して、一気に「すべきこと」まで自身の気持ちを持っていけば、あなたの就活は80%くらい終わったようなものかも知れません。
最終的には、「キャリア」や「就職活動」については、以下のようなフレーズで締めくくりたいと思います。
「やりたいことがわからない」と立ち止まってはいけない。キャリア・アンカーをヒントに自分を言葉にして、会社探しや会社研究、そしてエントリーシート作成へと繋げよう!
ここまでできれば、あとは日々その会社で仕事している自分の姿をイメージし、日常におけるさまざまな場面を、「会社だったら」「会社の方針は」「会社の理念からは」等の自分への問い掛けをして、問題解決していければ、あなたは面接時の質問への回答が素晴らしくストーリー性のある内容となり、面接官に「君と働きたい」「君に会社の未来を託したい」などと思われて合格に結びつくこと間違いなしだと考えます。がんばろう!僕ら☆彡
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今日も最後まで読んでいただき、どうも有り難うございました。
話しの内容があなたにとって有益なものであれば、ますます嬉しいです。
それでは、また!Ciao☆彡
【参考・引用文献】
・エドガー・H・シャイン:『キャリア・アンカー:自分のほんとうの価値を発見しよう』・エドガー・H・シャイン:『キャリア・アンカー〈1〉セルフ・アセスメント』