【心理学】集中力を失わずに休憩を最大化するための7つの戦略!

先日、以下のような休憩時間に関するtweetをしました。

僕は「ポモドーロ・テクニック」実践者なので、休憩時間は概ね「5分」と「30分」に設定してるけど、今回はその根幹に関わる内容なので、サクッと紹介しますね!

そもそも「休憩」とはと考えると、これまで仕事では「労働時間」に当てていた焦点を「生産性の向上」に舵を切っていますよね。特に、最近は「働き方改革」主導でいろいろなことが変わりつつあると感じます。ここまでは、全体のことなので、ちょっと質問します。

あなたはあなたの仕事について改革・変革を実行していますか?

僕の回答は「Yes」ですが、あなたはどうでしょうか。日本における定時に開始して定時に終了するシステムでは、前回のKojini’s Cafeで書いたように「休憩」の取り方ができておらず、朝から休憩も取らずに仕事をし続けているような状況がどの会社でも普通のようです。しかし、このようなスケジュールでは午後3時くらいには疲れる、眠くなる、その他の多重苦に襲われる魔の時間に突入します。

先述では「生産性の向上」に舵を切っていると書きましたが、10行ももたずに生産性があがらない状況に陥りました(笑)。そこで、やはり改善のためにしなければいけないことの一番手が「休憩」のスケジュール内への組み込みです。

やはり、ルーティンな仕事の中で休憩を取ることはなかなか難しいことだと認識してしまっている事実があります。以下のような4点がその原因です。

・締め切りに迫られている
・厳しい上司の目
・なんとなくな同僚の目
・罪悪感

この理由で、ほとんどの人たちが休憩を適切なタイミングで取れていません。そのため、目標としているはずの「生産性の向上」は望めません。

アメリカ、ボストン大学心理センター(CARD)の心理学者エレン・ヘンドリクセンは下記論文の中で「仕事に集中するためには適切な休憩を取ることが大事だ」と言及しています。

7 Strategies to Maximize a Break Without Losing Focus
「集中力を失わずに休憩を最大化するための7つの戦略」

この中でエレンが「生産性の向上」に向けて休憩をとることの必要性を提言していることは、以下の7点です。

Tip #1: Any Break Is Better Than No Break
Tip #2: Make Your Break Different Than Your Work
Tip #3: But Take Breaks That Keep You in a Work Mindset
Tip #4: Take a Microbreak
Tip #5: Trade the Midafternoon Slump for a Morning Break
Tip #6: Don’t Break Flow
Tip #7: But When It’s Time to Rest, Rest Like You Mean It

Tip #1:とにかく休憩を取ろう
Tip #2:休憩中は仕事のことは忘れよう
Tip #3:仕事のマインドセットを維持する休憩を取る
Tip #4:時間がなければマイクロブレイク(1分)でも取る
Tip #5:午前中に休憩を取ろう
Tip #6:休憩にとらわれすぎも良くない
Tip #7:休日・休暇ではしっかり休もう

これら7点を読んでみて、現在のあなたはどれだけできていましたか?
「ポモドーロ・テクニック」実践者の僕は7項目すべてできていますよ!

①とにかく休憩を取ろう

これまでの常識からすると、休憩中には「何も考えずに、脳と身体を休ませよう」という考えで休憩を取っていたのではないでしょうか?しかし、実際には次のタスクの準備をしたり、次のタスクの場所まで移動したりと、案外ゆっくりしている時間はなかったりしていますよね。でも、心配しなくても大丈夫です。エレンは以下のように言及しています。

休み時間中にビデオを見たり、音楽を聞いたり、ゲームをしたりすると逆に集中力が落ちてしまうと考えていますが、そうではありません。どんな種類の休憩であってもいいのです。
とにかく、タスクの手を休めることこそが大切で、このことで結果的に生産性を向上させることができます。

エレン(2017年)の研究では、5種類の休憩を直接比較しています。全員が45分間持続的な注意を必要とするタスクに集中するよう求められました。途中、参加者は5分間の休憩を取ることになります。2グループに実施させ、休憩がどれくらい影響するのかの調査をしています。

Aグループ:タスクを休憩を取らせずに実施
Bグループ:タスク途中で5分間の休憩を取らせる

      ・スマホでゲームをする
      ・黙って座る
・Coldplayの音楽を聴く
      ・Coldplayのビデオを観る
      ・音楽とビデオのどちらかを選ぶ

その結果は、Bグループのすべての休憩条件で、Aグループと比較してより良いパフォーマンスを示した(パフォーマンスが向上した)とのこと。

試験勉強を5時間続けて行うことで、現実的にどの程度の生産性が得られるか問います。静かであろうと大声であろうと、無気力であろうと気遣いであろうと…
休憩を取ることは何もしないより良い。このとき、休憩の種類は問わない。

②休憩中は仕事のことは忘れよう

きっとあなた自身もこれまでに「経験」していることだと思います。いつものルーティンなタスクは慣れてしまって新たな刺激が得られなくなり、ふとしたときにケアレスミスを犯してしまったなどですが、どうですか?僕は以前はそのようなことを毎回起こしていました。実は現在もそうです。

例えば、長い文章を書いているときや同じような内容の文章をコピーしているときには誤字脱字が増える傾向にあるなと感じています。ですから、必ず2、3度声に出して見直すようにしています。この対応を入れてからは、最終的な提出物での間違いはほとんどなくなりました。

イリノイ大学のAtsunori Arigaらの研究では、作業プロジェクトや認知目標を吹き替える他のタスクなどの刺激に積極的に取り組んでいるときでも、時間の経過とともに慣れ、タスクとは無関係な考え(注意散漫)をより活発にするという仮説を立てています。



したがって、研究者らは「認知目標を無効にする」、つまり休憩を取ることで慣れが起こらないようにすることができると提案しました。休憩後、目標は再びアクティブになります。

しかし、エレンは、あなたの休憩のために、あなたがしていたこととは180度異なる何かをしてくださいと言います。例えば、1日中画面を見つめている私たちにとって、休憩中にスクリーンを見なくても、電話を見つめることによって休憩を取ることにはならない。いくつかの身体的なことをしたり、散歩に出て昼食を取ったり、建物内を散策したりすることは、休憩を全くとらないよりも良い結果をだすと述べています。

③仕事のマインドセットを維持する休憩を取る

あなたは、これまでにこんな経験はありませんか?
休憩時間だけと考えてやり始めたことが、あっと言う間に時間が過ぎてしまっていたり、気がつくと1時間も過ぎていたとか…これでは生産性の向上どころではありません。
しかし、安心してください。エレンは以下のように言及しています。

「同じ種類のタスクが休憩には最適です」

生産的な先延ばしには多くの落とし穴があるとしていますが、メールの整理PC内のフォルダ整理や予定している飛行機のチケットのオンライン検索等は、脳を使う必要がなく、仕事に対する姿勢も崩さないため、ゆるやかに脳のシフトダウンを実行できるそうです。仕事とは離れた内容を休憩中は持ち込むべきだということが言われていますが、エレンが言うように頭脳を必要としないが生産性を保てるのであれば、あなたの仕事の考え方とコントラストを提供する生産的な仕事は、個人の判断で組み合わせることで生産性の向上につながると考えることができます。

④時間がなければマイクロブレイク(1分)でも取る

「ポモドーロ・テクニック」実践者である僕は「5分」及び「30分」の休憩パタンがルーティンなので、時間がないとか、取れないとか言うことはほとんどありません。しかし、仕事してる多くの人たちはこの点を大いに悩んでいると聞いています。

しかし、その人たちの「休憩時間」の概念はどうかと質問すると、「10分」「15分」、いや「30分以上」は欲しいという回答が返ってきます。こうなると、個々人でバラバラな上に、取れればいいとか、ゆっくりしたいとか、個人の情動や気分が入ってくることで、問題がこじれているようにも感じます。前者は次の仕事に集中するための休憩であり、後者は疲労回復をして次の仕事に向かうための休憩ということになります。

後者のように、まとまった時間(ここでは30分以上としましょう)が必要な人たちには、共通の問題が隠されているように思います。問題と言うと大袈裟ですが、仕事に超真面目に取り組んで、予定していた通りに実行できないことだけで悩んでしまうネガティブなタイプのようです。その点、前者はあまり気にすることなく、やり残した仕事でさえ、次の機会にサクッとやろう的なポジティブな気持ちへの切り替えができているようです。

また、後者は「休憩を取らなくてはいけない」という呪縛に襲われることもしばしばでしょうか…仕事は終わらない、休憩も取れないとなると、生産性はますます低くなっていくことは予想できますね。僕からは、この点だけでも意識して変えることを提案したいと思います。これだけ実行するだけでも、仕事が終わるようになるか、休憩が取れるようになるか、あるいは両方が手に入ると考えることができます。

このことは、メルボルン大学のケイト・リーらから、細心に注意が必要な面倒な作業(PCスクリーンを見続ける連続タスク)の研究が報告されていて興味深いです。

参加者にはコンピューター画面に現れる数字を見続けてもらいます。「3」以外の数字がでたときにPCの「キー」を押すように指示され、途中で「40秒間」建物の写真を見せます。

Aグループ:タスク途中でコンクリートの屋根がむき出しの建物の写真を見せる
Bグループ:タスク途中で花が咲く緑の屋根の写真をみせる

その結果は、Bグループは作業で起こるミスを大幅に減らすことができたとのこと。

現実の仕事の場合、休憩中に限らず、集中力等が切れそうだなと感じたときには、立ち上がって窓際に行き、外の緑や遠くの風景を眺めてみることがオススメのようです。
僕のデスクは立ち上がり振り向くとすぐ窓なので、常に1分間程度で実践していますよ。もちろん、その後の生産性の向上も実感しています。

⑤午前中に休憩を取ろう

みなさんに質問です。1日の仕事のうち、休憩はいつとることが多いですか?
この質問に関する回答は、午後3時頃というものが圧倒的に多くなっています。誰しも、小さい時から「午後3時はおやつの時間」という習慣がついていますよね。このことは大人になってからも変わることはありません。仕事の手を休めて、スタバに向かったり(コーヒーを飲んだり)お菓子を食べたりということを自然にできているようです。子供時代の「おやつの時間」が今は「ブレークタイム」になっているということです。

考えてみてください。3時のおやつはいいのに、その他の時間に休憩を取ることは気が引けるという回答がありました。心理学的には「集団的心理」であり、昔流行った「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という心理状況ですね。

そんな話しには、ベーラー大学のエミリー・ハンターらの以下のような研究報告が役立ちそうです。

休憩は午前中に取った方が午後に取るよりも生産性が向上した!

僕ら自身の経験からしても、午後3時はどのような状況にあるか、概ね理解できます。それまでの仕事量にも拠るところが大きいとは思いますが、僕らの脳は相当に疲れていることを自覚できます。ケアレスミス等が増えるのもこの時間帯ではないかと思います。そのため、この時間に休憩を取ることで高い生産性を維持したり、取り戻すことには限界があるそうです。もちろん、ルーティンに休憩が取れている中での午後3時であれば、この問題は小さくなるでしょう。

普通に、午後3時にだけ休憩する毎日を過ごしているあなたは、その後は思考を使う必要のないメールの受信トレイの整理や管理業務等がタスクのみに適しているそうです。

逆に午前中に休憩を取ることの意義はこのようなことです。みなさんが最も集中力を発揮するのは午前中です。もちろん、この設定にも反証はあると思いますが、概ねその日の大事なタスクは午前中の早いうちから取り掛かっている実感があります。

そうなれば、休憩はいつ取るべきなのでしょか。早速9時から仕事を始めたのであれば午前10時には1度休憩を取るべきですね。その後も12時までやり続けることではなく、11時には少なくとも2度目の休憩を採用すべきでしょう。

目覚めてから3時間後が最高のパフォーマンスを脳は発揮する!

そのような研究報告もあるわけですから、6時に起床する人は午前9時頃が最高です。このパフォーマンスを維持するためにも、是非休憩を取る必要があることは自明ですね。

ちなみに僕は、午前5時に起きて3ポモ実行する間に2度5分間の休憩を入れています。もちろん、職場での仕事でも9時から4ポモを基本に実行しています。3度の5分休憩と1度の30分の長い休憩が基本です。

⑥休憩にとらわれすぎも良くない

エレンによれば、「休憩を取らなくてはいけない」という思考に囚われすぎるのはよくないと言及しています。おっと、ポモ・テクを否定している発言かと考える旨もありますが、よくよく考えると、ポモ・テク実践者は否が応でも休憩を取らなければという思考でタスクと向き合ってはいません。

エレンが言っていることの本質は、タスクに集中して取り組めていたり、やっているときに順調だと自覚できたり、創造性あふれる仕事ができていると感じることができる時には、そのままアクセルを踏んでいてもOKだということに他なりません。この時は、あなたのアイデアはアドレナリンと同じくらい早く流れているそうです。また、夢中になっているときには、時間を追跡できない状態に陥っています。
ルールがあっても、それを実行しているのは自分であると認識していれば「マイペース」でアクセルとブレーキをコントロールすべきです。このバランスを大切にしています。

⑦休日・休暇ではしっかり休もう

情報革命によってもたらされた恩恵はとても大きなものですが、逆に失ったものもあります。以前は、休日や休暇時に、電話がない場所で過ごしたり、電話がなっても出ないでいれば、誰ともつながらずに自らの時間を過ごすことが可能でした。しかし、現在は個人でスマホを持てる時代となり、SNSやアプリの発達で、あらゆる場所で誰にでもアクセスすることが可能となり、プライベートとソーシャルの区別がつきにくい世界になっています。

当然、休日はもちろん、休暇であっても相手が必要と考えた場合には、仕事等に連絡が来ます。しかし、ここではきちんと仕事関係のタスクは断るべきでしょう。日本人はこの点が非常に難しいとは思いますが、働き方改革が推進されている現在、その方向へ舵を切り、進んでいくべきです。

しっかりと休むとは言っていますが、のんびり過ごすことはもちろん、予定していた家族とのイベントを楽しんだり友人とどこかへ出かけたりすることで、完全に仕事をしないという意識をもって1日を過ごすことを提案するとエレンは言及しています。

また、このことについては方一つ方法があるといいます。猫や犬からインスピレーションを得ましょう。彼らは完全に休息します。ツイッターをチェックしたり、月曜日の朝について考えたりしません。日当たりの良い場所を見つけしっかり休憩します。

まとめると、どのような休憩を取るか、どの間隔を取るかを強調するのではありません。
「25分on+5分off」のポモドーロ・テクニックであったり、「52分on+17分off」のデスク・タイム・メソッドスタイルであったり、状況に応じて機能します。

僕は、毎日の仕事中も休憩中は「I’m off」というフラッグを“心の中”に立てています。もちろん、休日や休暇に入るときには、実際にデスク上に「I’m off」のフラッグを立てます

スタッフに対する宣言ではありますが、自分自身に対する「休日はしっかり休もう宣言」でもあります。

今回は、パフォーマンスを重視した休憩時間の設定ということで、ボストン大学心理センター(CARD)の心理学者エレン・ヘンドリクセンの考えを軸に話しを展開しました。

ポモドーロ。テクニック」の構造とは見かけ上合わない言及箇所も散見されますが、休憩や時間管理に対する“本質は変わりないと考えます。ルールに従うにしても、自由にやることにしても、どちらもあなた自身の意識のコントロールが大切だということです。
なかなか時間管理が上手くできないとか、休憩を取ることができないというあなたにこそ、ここでの話しの内容に耳を傾け、是非実行に移し活かしてほしいと思います。
もちろん、「ポモ・テク」のようにルールを遵守してやり始めるのであれば、しっかり応援したいと思います。まずは、僕の過去記事を参考にしてもらえると有り難いです。そこから、わからないこと等は是非質問やコメントをしてもらえるととても嬉しいです。

今日も最後まで読んでいただき、どうも有り難うございました。
あなたにとって有益な情報であれば嬉しいです。
質問やコメントをいただけるとますます嬉しいです。
それでは、また。Ciao☆彡

【参考文献】
・ELLEN HENDRIKSEN:7 Strategies to Maximize a Break Without Losing Focus(2019)

投稿者: コージーニ先生

リハビリテーションセラピストです。現在までに約15万人の患者、その家族及び学生と保護者とかかわりを持ってきました。その経験から患者とその家族&子どもたちと学生たちとの人生に寄り添って感じたこと、学んだことの中から「過去の僕」に知っておいてほしいコト&「未来のみんな」に伝えたいことを呟きます。 著作や詳しい活動履歴はこちら→ https://kojini'sblog.com/about

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