生産性が高い人は、同じ労力・時間で多くのアウトプットを出せる人です。
基本的に、①と解くべき問題を見極めて、②解の質を上げます☆彡
今朝、以下のような生産性を高める手順についてtweetしました。
仕事の精度が上がらない人、時間がかかって仕方ない人には、その改善のために必要な要素がたっぷり詰まっているので、是非読んでいただきたいです。
安宅和人(著)『イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」』では、知的生産が高い人を以下のように形容している。
同じ労力・時間を使って、(他者より)多くのアイとプットを出せる人
他者よりは余分だったかなと思うところがあるので、括弧書きにしてみたが、どうだろう?なるほど、そうだな!とか、いるいる、そんな人がうちの部署に!とか気になる“できる人”を思い描くことができるはず!
そんな「生産性が高い人」の基本は、以下のように定義されている。
①解くべき課題(これがイシュー)を見極めてから、
②解の質をあげる人のこと。
と言うことで、①においては、問題をすべて解決しようとして、とにかくがむしゃらに働く人はNo Good(NG)です!
以上のことを理解したうえで、tweetした「知的生産性を高める6つの手順」について少し詳細に解説します。まずは①、そして②解の質を高めるために「ストーリーラインづくり」するためのステップとして存在しています。
1.(イシューを)見極める
前提(チェックすること)としては、①本質的か、②目的が明確か、③答えが出せるかということに尽きます。特に、③に関しては、建設的に考えを組み立てることが重要になってくる。だから、この作業が生産性を上げるためには最重要な要件になりそうだ!
2.(イシューを)分解する
これは洞察すること、分析することであり、そのためには物事の分解が必要であると言うことです。これには以下のようなイシューを分解するための「型」が存在する。
〇戦略立案時に使う「where・what・how」
・where:どのような領域を狙うべきか?
・what :具体的にどのような勝ちパターンを築くべきか?
・how :具体的な取り組みをどのように実現していくべきか?
また、安宅氏によれば、分解する方がない場合には「逆算」することも一手だと言っています。この場合は「最後に欲しいもの」は「核となるコンセプト」ということになる。つまり、いつ・誰が・どのような場面で使うものなのか、あるいは、なぜこれが既存のモノ(手段)より役立つことがあるのかということ。確かに、これがはっきりしないと話がはじまりませんよね。僕あは、無意識のうちにこの方略を使っていました。
「イシューを分解する」効用は、以下の2つに集約されます。
1)課題の全体像が見えやすくなる。
2)サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる。
問題解決のための検討が進み、サブイシューに答えが出るたびに、あるいは新しい洞察が得られるたびに、書き換えられるべきものがストーリラインであり、ストーリーラインづくりにもイシューの分解同様「型」がある。
〇「whyの並び立て」
・最終的に言いたいメッセージについて、理由や具体的なやり方を「並列的に立てる」ことでメッセージをサポートする。
・場合によっては、手法を並び立てることもある。
〇「空・雨・傘」というマッキンゼーも使う問題解決のフレームワーク
・空:〇〇が問題だ(課題の確認)
・雨:この問題を解くには、ここを見極めなければならない(課題の深堀り)
・傘:そうだとすると、こうしよう(結論)
このようにストーリーを組んで、最終的に言いたいこと(普通は「傘」の結論)を支える 形式をとっている。例えば、以下のようなものです。
・空:出かけようと思って空を見上げると雲がかかっている。(=事実認識)
・雨:これは少ししたら雨が降りそうだ。(=事実解釈)
・傘:傘を持って出かけよう。(=判断)
これらは「ピラミッド構造 Pyramid structure」を取っており、2つのロジック構造を生かし、結論とそれを支える要点を短時間で伝えることができるコミュニケーションスキルである。要するに、話を構造化して伝えることができているならば、問題ありません。
3.(データを)収集する
よいイシュー特定のためには情報収集が重要である。(強引にでも)仮説を立てることの重要性から、それを発見するための「材料」が必要となる。手がかりを得るためには、取り組んでいるテーマ・対象について「考えるための材料をざっくりと得る」ことである。つまり、時間をかけ過ぎずに大枠の情報を集め、対象の実態についての肌感覚をもつこと、細かい数字よりも全体としての流れと構造に着目したい。
〇1次情報に触れる:誰のフィルターも通っていない情報のこと。
〇データは集め過ぎない
〇相談できるものは聞く
これらから、ことばでストーリーラインを作ることが可能となる。
4.分析イメージから絵コンテを作る
具体的なデータからイメージを構築する。具体的には、グラフや図を付け足すこと。
安宅氏は、この分析イメージづくりの作業を「絵コンテ」づくりと呼んでいるとのこと。
イシューを分解し、組み立てたストーリーラインはまだ言葉だけのものなので、ここに具体的なデータのイメージをビジュアルとして組み合わせることで急速に最終的なアウトプットの青写真が見えてくる。
〇絵コンテづくりの3つのステップ
①軸の整理:分析の枠組みをつくる(分析のタテとヨコの広がり)
②イメージの具体化:具体的な数字を入れて分析・検討結果のイメージをつくる
③方法の明示:どうやってそのデータを取るのか、という方法を明示する
5.具体的なデータのイメージ(絵コンテ)から検討する
なぜ、分析を「比較」の視点で設計士、イシューやサブイシューに答えを出すことが効果的なのかについては、サイエンスの専門である「脳神経系の働き」から考察している。
〇知覚の特徴から見た分析の本質
①閾値を超えない入力は意味を生まない
②不連続な「差異」しか認知できない
③理解するとは情報をつなぐこと
④情報をつなぎ続けることが記憶に変わる
このように、安宅氏は、情報をつなぎ続けることが記憶に変わるとして、「理解することの本質は既知の2つ以上の情報がつながること」だとしています(下図:脳の知覚の特徴)。間違った広告・マーケティング活動は枚挙にいとまがないが、受け手の既知の情報と(未知の)新しい情報をつなげる工夫が大切であることが理解できる。
そしてこれが、明確に理解できるイシュー、サブイシューを立て、その視点からの検討を受け、その視点から答えを出さなくてはならないことの理由としている。
6.アウトプットする
ここまで来たらゴールは見えてくるが、簡単に考えない方が良さそうですよ。ここから先は、実際に論文なりプレゼンの資料をまとめていく作業に入ります。
イシューが見え、ストーリーラインができ、それに合わせて絵コンテができれば、あとはその絵コンテを本物の分析にしていくことになる。
だからこそ、問題の本質を見失わずに、検証サイクルを回すことが大切である。
これは、バリューが同じであれば、早く終わるものから手をつけるやり方である。
〇いきなり飛び込まない:同じイシューであってもそれぞれ軽重がある。
〇答えありきではない:アウトプットを生み出すステップで意味のある分析・検証は 「答えありき」ではなく、対極にあると言うことの理解が必要である。
受け手にとって十分なレベルとは何かを考えると、軽快に答えを出すことが重要となる。
〇完成度よりも回転数(いくつもの手法を持つ、回転数重視)
〇エレガントよりもスピード(大切なのは答えを出せるかどうか、スピード重視)
〇聞き手は賢いが無知(デルブリュックの教え、的確な伝え方をすれば理解してくれる)
これらの理解の上で、「イシューからはじめる」というポリシーを貫き、「何に答えを出すのか」という意識を発表(プレゼン・論文)の全面に満たす。シンプルにムダをなくすことで受け手の問題意識は高まり、理解度は大きく向上する。
一方、イシューがあいまいであれば受け手の気は散り、理解度が落ちるのは自明である。
〇「イシューからはじめる」世界についての、「本質的」「シンプル」の視点
・「何となく面白いもの」「たぶん大切だと思うもの」などはいらない。
・「本当にこれは面白い」「本当にこれは大切だ」というイシューだけあればよい。
・複雑さはいらない
・意識が散るようなもの、あいまいなものはすべて排除する。
・ムダをそぎ落とし、流れも構造も明確にする。
〇ストーリーラインを磨き込むための3つの確認プロセス
①論理構造を確認する
②流れを磨く
③エレベーターテストに備える
〇チャートを磨き込む(チャートの構造:メッセージ・タイトル・サポート+情報源)
「優れたチャート」が満たすべき3つの条件
①イシューに沿ったメッセージがある(チャートがイシューに即している)
②(サポート部分の)タテとヨコの広がりに意味がある(分析は比較)
③サポートがメッセージを支えている(論理的思考力、倫理性の問題)
「優れたチャートの3条件」に対応した3つの作業
①1チャート1メッセージを徹底する(シンプル、15秒ルール、最初のつかみ)
②タテとヨコの比較軸を磨く(答えための明確な比較、必要な比較軸を並列化)
③メッセージと分析表現を揃える(差分表現と指数表現)
私的まとめにかえて
ここまで『イシューからはじめよ-知的生産の「シンプルな本質」』についての「生産性を高める手順」について詳しく見てきました。実は、このことがこの本の背骨にあたる部分だと実感しています。
安宅氏は、「コンプリートワーク」をしようというコラムの中での質問「これまでの科学者・コンサルタントという経験は今の仕事にどう役立っていますか?」に対し、以下のように言及されています。
”答えのひとつは、この本で一貫してお伝えしてきた「イシューからはじめる」思想であり、それにまつわる行動様式、結果としての問題解決力だ。そしてもうひとつが「結果を生み出す」ことに対するコミットメントの強さだと思っている。”
”(中略)いずれも(コンサルタントも科学者も)結果に対する強い自己ドライブがないと仕事を楽しめない。”
”僕を育ててくれた母体のひとつであるマッキンゼーにある教えと言うか、(中略)表現し難い「憲法レベル」とされる言葉にこんなものがある。
「コンプリート・スタッフ・ワーク(Complete Staff Work)」
これは「自分がスタッフとして受けた仕事を完遂せよ。いかなるときにも」という意味だ。この「コンプリートワーク」という言葉はプロフェッショナルとして仕事をする際には、常に激しく自分にのしかかってくる。”
そんなプレッシャーの中で仕事することの意味を改めて考えさせられた本だった。
最後に「イシューからはじめる」という思想について、以下のように書かれている。
”「人から褒められること」ではなく、「生み出した結果」そのものが自分を支え、励ましてくれる。生み出したものの結果によって確かに変化が起き、喜んでくれる人がいることがいちばんの報酬になる。(中略)
この勝ちを生み出す根っこにあるのが、「イシューからはじめる」という思想であり、脱「犬の道」とおいう考え方だ。これをしっかりともつだけで僕らの生活は格段にラクになる。そして毎日が格段に充実したものになり、1日1日で生み出す価値ははるかに大きなものになっていく。”
そして、”このことを最後に共有できたら、と思う”という言葉で締めくくっている。
いつも最後まで読んでいただき、どうも有り難うございます。
『イシューからはじめよ』の僕的解釈が終了みたいな終わりになっていますが、これからも「イシュー」に関するBLOGは書き溜めていきます。どうぞよろしくお願いします。
ここまで読まれてどうだったかなという思いがあります。お時間があれば、是非コメント等寄せてもらえると今後の記事への書くパワーになります。
それでは、また!Ciao☆彡