【教育】学習成果の教育経済学①-『「学力」の経済学』(中室牧子著)

これまで、僕コージーニ先生が実践している以下のような方法を紹介してきました。

時間管理=ポモドーロ・テクニック
思考法=イシュー・ドリブン
✅マーケティング=ベネフィット・S&T・差別化・価格

それぞれ、手本となる書籍がありました!

✅ポモドーロ・テクニック
 →『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る-ポモドーロ・テクニック入門』
  (フランチェスコ・シリロ著)
✅イシュー・ドリブン
 →『イシューからはじめよ-「知的生産のシンプルな本質」』(安宅和人著)
✅ベネフィット・S&T・差別化。価格
 →『ドリルを売るには穴を売れ』(佐藤義典著)

きっと、これらの3冊の書籍の紹介後、手に取って読んでいただいたり、早くも実践していただいてたりすると思います。そんなあなたからは是非、あなたの実践プロセスや結果をお聞きしたいなと思っています。
BLOG “Kojini’s Cafe” にコメントいただけるととても嬉しいです。

◇ 
さて、今日からは、『「学力」の経済学(中室牧子著)』を題材に「教育」「学力」に関することを「経済学」も含めて書いていきます。

ポモドーロ・テクニック」を使い時間を管理できるようになり(ポモ・テク実践者と名乗ってます)、「イシュー・ドリブン」を屈指してイシューを立てて仕事をこなし、成果を上げ、ベネフィット等の「マーケティングの基礎理論」をマスターして仕事に挑み問題を慧結、そして最近は問題になる前に課題を抽出してきた(と自分では思っている…笑)僕、コージーニ先生が、この10数年間 ”Life Work” として取り組んでいる「教育」について、ようやく語れる時間を作るまでになりました。


このBLOG “Kojini’s Cafe” をスタートしてから、実は今日で50日になりました。

毎日の投稿はなかなかしんどいものでしたが、この「教育」を語るためには外せないプロセスでしたので、ある意味「目標」に向かって着実に山登りしている感覚で毎日が充実していました。まだまだ、皆さんの元には、僕コージーニ先生の思いは届いていませんが(毎日の閲覧者数は寂しい限り…泣)これからも、思っていること、考えていること、そして大切なのは、何と言っても思い、考えたことを実行にうつすことなので、教育に関する「意識経験」を僕のことばで発信し始め、発信し続けたいと思います。よろしくお願いします。

◇ 
今日からは、僕の現在の仕事の中心である「教育」について話をしていこうと思います。

まずは、「教育」についての僕コージーニ先生の立ち位置や思いから話を始めますね。

以前の僕は、自分がやりたいと考えること、正しいと考えることを学生教育に取り入れてきました。これはある意味「エゴ」であることに気づいたのは20年前のイタリア留学の時でした。詳しくはおいおい話の中に出させてもらおうと考えているので、ここでは割愛しますが、キーワードは「温故知新」と「羅針盤の存在」です。

と言うことで、ここからはまず「温故知新」についての話していきます(私信)。
僕コージーニの思いが前面に激しく出てくると思うので、時々は「批判的吟味」のコメントをお待ちしています。批判的に吟味してもらえると有り難いですが、是非コメントは「超建設的」にお願いしますね(笑)

0.なぜ「温故知新」なのか?

そもそも、なぜ「温故知新」なのかという話です。突然、そう言われても困りますよね…ここでは、このような思考を啓発しているのかについて、ゆっくり話をしていきますね!

そのためには「教育」における近代化にまつわる話し、いわゆる歴史について知っておく必要があると思います。ちょっと復習の意味で「近代教育」の歴史情報を整理します。このことを理解した上で、『「学力」の経済学』に入っていきますので、しばし、教育の歴史を概観してみましょう☆彡

(1)日本の教育制度(近代~現代)の歴史、知ってますか?

日本の「教育」は、近現代(明治時代)の「富国強兵」にはじまっていると考えています。

富国強兵は、ときの明治政府が経済発展と軍事力強化によって近代的な国家を目指した目標です。この富国強兵を実現するための手段として進められた政策が以下の通りです。

・学制
・兵制
・税制改革
・殖産産業

具体的な施策として、学制では「小学校教育」がはじまりました

学制(明治5年8月2日太政官第214号)は、太政官より発された、日本最初の近代的学校制度を定めた教育法令です。109章からなり、「大中小学区ノ事」「学校ノ事」「教員ノ事」「生徒及試業ノ事」「海外留学生規則ノ事」「学費ノ事」の6項目を規定しています。
全国を学区に分け、それぞれに大学校・中学校・小学校を設置することを計画し、身分・性別に区別なく国民皆学を目指しています。教育令(明治12年太政官布告第40号)の公布により、1879年(明治12年)9月29日に廃止された。

教育令(明治18年8月12日太政官第23号布告)は、1872年(明治5年)公布の学制に変わって制定された教育に関する太政官布告です。地方官(府県長官)に与えられた権限を縮小し学区制を廃止した内容になっています。私学校設立と国民の重い負担に鑑みて就学に関する規定を緩和したが反対意見が噴出し、翌1880年(明治13年)12月28日と1885年(明治18年)8月12日の2度の改正がなされました。1886年(明治19年)3〜4月、初代文部大臣・森有礼による、一連の学校令の制定によって廃止された。

学校令(明治19年3月2日~4月10日)は、日本で公布された初等・中等・高等の学校種別を規定する5つ(あるいは4つ)の勅令(単行勅令)です。
いわゆる、帝国大学令、師範学校令、小学校令、中学校令で、「諸学校令」とも言います。上記の5(4)勅令を初めとして、1947年(昭和22年)3月の第2次世界大戦語の学校教育法公布に至るまでの時期に随時公布された、各学校種別を規定する単行勅令の総称であり、「旧制」の学校種別・公教育体系を規定した一連の勅令の総称になります。

学校教育法(昭和22年法律第26号、3月31日公布、4月1日から施行)は、連合国軍の占領統治下、日本国憲法制定後の議会であった第92買い帝国議会によって「教育基本法」などとともに制定された学校教育制度の根幹を定める日本の法律です。

学校教育法で、指定された学校の種類(学校種)は第二次大戦後における教育改革の姿勢と方向付けを如実に示している。ただし、学校教育法に言及されていない教育の場も少なくない。学校教育法は、小学校6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年、幼稚園、高等専門学校5年、中等教育学校、義務教育学校、特別支援学校(以上、一条校)のほか、専修学校や各種学校などについても定めている。

このような「教育改革」が実施され、現在の「教育制度」へとつながっていることを理解してください。

国という大きなシステムが、「教育」というサブシステムにより、さまざまな方向へ動くことが可能になります。言い換えると、教育の積み重ねが間違うと、国というシステムが破綻するということにもなりかねません。

「教育」はそれだけ重要なポジションにあるということですよね!

その「教育」で実施されていることが「学習」であるならば、その「内容」をきちんと吟味して正しい方向に導いていかなければ、未来を背負う子どもたちに申し訳が立ちません。

コージーニは教育学を修めているわけではありません。学校教育の中で必要に迫られてこれらの情報を少しずつ調べ、蓄積してきました。最近になり、ようやくこれらを系統的に俯瞰できるようになり、これまで「勘」を頼りにやってきた自身の教育に、数字による科学的証拠(evidence)を持ち込み、自信が持てるようになってきたので、そのことも含めてみなさんと一緒に考えたいと思い、BLOGにしていきます。

1.教育は「1億総評論家」

これは『「学力」の経済学』の第1章の第1節のタイトルです。たしかに、そうだなぁと思うし、最近は見なくなったTVにも数多くの「教育評論家」なる人たちが出演し、彼らの経験からの話しをしきりにしていたのを思い出します。

この章の冒頭には、西内啓著『統計学が最強の学問である』から、以下のような文章が引用されています。

不思議なもので、教育という分野に関しては、まったくと言っていいほどの素人でも自分の意見を述べたいという現象がしばしば起こる”

たしかにそうですよね…日本人は、前述した教育基本法等の法整備により、教育を受けた経験がない人はひとりもいないはずなので、教育については、特に自分が受けてきた教育については言いたいことがたくさんあるようです。本では「一家言」あるという人は少なくありません。「1億総評論家」状態だと言っています。

あなたも僕もそのうちのひとりということです(笑)

“どのような教育がいいか、という問いへの回答は、教育される本人の特性や能力、環境などさまざまな要因によって左右される…(中略)自分が病気になったときに、まず長生きしている老人に長寿の秘訣を聞きに行く人はいないのに、子どもの成績に悩む親が、子どもを全員東大に入れた老婆の体験記を買う、という現象が起こるのは奇妙な事態だとは思わないのだろうか”

コージーニは、正にこの的確な例えで西内氏が日本の「教育」に対し、警鐘を鳴らしていることが理解できました。

西内氏の例えは、ひとつの事例にすぎないものを、全体を表しているかのようにとらえさせてしまっていることに警鐘を鳴らしています。以前から、僕の脳裏をかすめていたぼんやりとした違和感はこのことでした。

このことからは、どこかの誰かが子育て(ここでは教育)に成功したからといって、同じことをしたら自分の子どもも同じように成功すると考えている親が多いことが推察できます。しかし、それを保証するものはどこにもありません。

なぜなら、子どもの成功にはあまりにも多くの要因が影響しているからです!

実はこのことは、学校教育全体についても言えるのではないかと考えています。
明治以来の学校教育で変更のないやり方が、対面授業(スクール形式)です。
特に、小学校、中学校では語弊があるかもしれませんが、子どもたちには明らかにレベルの違いが見て取れるのに、教育では一斉授業が行われ、同じ時間に、同じ内容が子どもたちに提示されています。これは、公の制度である学校を1つの法律で規定し、教育の機会均等を図ることにあるとする学校教育法の精神に則ったものに他ならない。

システムだから仕方ないじゃないか…と諦める風潮があり、これまでは問題にされることはありませんでした。しかし、昨今の国際競争力の減少から、新たな「強国論」が言い出されています。国を強くするためには、やはり「教育」の力を借りなければいけないということに、国の方もようやく気づいた様子です。

と言うことで、ここで日本の教育の現状を把握するデータを開示しますね!

各国の教育レベルを測定する国際的なテストが2つあります。

・PISA(学習到達度調査)
・TIMSS(Trends in International Mathematics and Science)

OEDC(経済協力開発機構)の行うPISA(学習到達度調査)と、国際教育到達度評価学会(IEA)が行うTIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)の2つ。

PISAは、義務教育が終わった15歳(日本では高校1年生)を対象に、2000年から3年に1度、「科学的リテラシー」「読解力」「数学的リテラシー」の3分野において行われています。
TIMSSは、小・中学生を対象とし、1995年から4年に1度、算数および数学・理科の教育到達度を測るテストが行われています。

PISAは、義務教育修了段階で身につけた知識や技能が、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価するものであり、TIMSSが学校で習ったことをどの程度習得しているかを評価するというものであり、この2つには違いがあります。

ここでは、「PISA2018」の結果について概要と日本の結果について説明します。

【概要】OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査(PISA)は、義務教育修了段階の15歳児を対象に、2000年から3年ごとに、読解力数学的リテラシー科学的リテラシーの3分野で実施(2018年調査は読解力が中心分野)しています。平均得点は経年比較可能な設計であり、前回2015年調査からコンピュータ使用型調査に移行しました。
日本は、高校1年相当学年が対象で、2018年調査は、同年6~8月に実施しています。

【日本の結果】
◆数学的リテラシー及び科学的リテラシーは、引き続き世界トップレベルにある。調査開始以降の長期トレンドとしても、安定的に世界トップレベルを維持しているとOECDが分析しています。
◆読解力は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下しました。長期トレンドとしては、統計的に有意な変化が見られない「平坦」タイプとOECDが分析しています。

読解力の問題で、日本の生徒の正答率が比較的低かった問題には、テキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。
◆読解力の自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題がある
◆生徒質問調査から、日本の生徒は「読書は、大好きな趣味の一つだ」と答える生徒の割合がOECD平均より高いなど、読書を肯定的にとらえる傾向がある。また、こうした生徒ほど読解力の得点が高い傾向にある。

日本は引き続きトップレベルにはあるものの、順位は前回より低下している。
特に、読解力におけるテキストから情報を探し出す問題や、テキストの質と信ぴょう性を評価する問題などがあった。
自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題があることが調査結果でわかった。

これらは、現在の大学及び専門学校の入学者においても同様の問題を見つけることができ、この数年の間に徐々に大きな問題となっていることが理解できる。
大学及び専門学校では、このような入学者に対し、リメディアル教育(remedial education)を実施し、小・中・高校で身に付けることができなかった読解力における問題を補完することを実施している。

このように、教育はその年代年代により完結しているのではない。それぞれが、上の学校教育システムに持ち込む能力は、継続して向上させなければいけない。この点が現在の学校教育においては欠落している最大の問題である。その解決のためにも、きちんとしたデータを揃えた上で、実験的にでも授業の中に展開できる要素を見出していかなくてはいけない。


今日は難しい問題を長く話してきたので、みんなちょっと酸欠状態かも知れません。
しかし、教育改革のボトムスの部分なので是非理解してもらいたいと思います。
子どもたちの未来のために、今からできることはしっかりやりましょう。

最後まで読んでいただき、どうも有り難うございました。
あなたにとって有益な情報であれば、ますます嬉しいです。
それでは、また!Ciao☆彡

【引用・参考書籍】
・中室牧子著『「学力」の経済学』ディスカバー21
・西内啓著『統計学が最強の学問である
OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~2018年調査国際結果の要約~


投稿者: コージーニ先生

リハビリテーションセラピストです。現在までに約15万人の患者、その家族及び学生と保護者とかかわりを持ってきました。その経験から患者とその家族&子どもたちと学生たちとの人生に寄り添って感じたこと、学んだことの中から「過去の僕」に知っておいてほしいコト&「未来のみんな」に伝えたいことを呟きます。 著作や詳しい活動履歴はこちら→ https://kojini'sblog.com/about

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