こんにちは、REHABxEducations のコージーニ先生です。
REHABxEducations での「成長」「発達」についての捉え方について
「脳科学の視点」から簡単にお話ししていこうと思います。
今日は「脳の発達」についてお話させてください。
皆さんは、学んだ知識を記憶したり、何かの時に判断したり、即座に決定したりすることに興味関心があると思います。そのためには「脳」がどうあるべきなのかって気になるポイントではないですか。と言うことで、今回の情報は…
『脳の発達に役立つ環境とは、どんな環境なのか?』
答えから言ってしまうと、豊かな環境が、脳の成長を進めます!
どういうことなのかをこれから簡単に説明しますね。
参考にした論文は以下のReferencesに示しました。
ローゼンツヴァイク博士ら(1996年)やゲイジ博士らの論文(1997年)では、マイス(ネズミ)を使って図のような実験をしました。
①一つの飼育箱は何も入れていない孤立した、貧しい環境(isolated, impoverished)、②もう一つの飼育箱はハシゴや回り車などたくさんの遊び道具を入れた豊かな環境(social, enriched)にして、それぞれの飼育箱の中でマイスを育てました。

こうした飼育箱の中で成長したマイスの脳を調べてみると、①の孤立した(isolated, impoverished)貧しい環境より、②の遊び道具を入れた(social, enriched)豊かな環境で育ったマイスの脳の方がよく発達しているのが観察されました。特に「海馬(hippocampal)」と呼ばれる新しいことを学んだり、記憶を司る部分がよく発達していることがわかりました。
②の遊び道具を入れた豊かな(social, enriched)環境のマイスの方が、海馬のニューロン(神経細胞)の数が15%も多く、ニューロンの「増殖能力」も2倍以上になりました。
重要なのは、海馬のこのような増殖や、活性化は、学習と結びつくことです。②の遊び道具を入れた(social, enriched)豊かな環境で育った方が、学習能力が高くなります。また、驚いたことに、この①と②の結果の“差異”は、マイスが子どもでも大人でも同じように現れたそうです。
このような実験結果を読んで、皆さんはどのようなことを考えますか?
REHABxEducationsでは、このような知見から、人間の「発達」や「成長」、あるいはその根幹となる「学習」には、「環境」がとても重要であると考えています。そのため、「身体と環境との相互作用」を大切にしています。
今日も最後まで読んでいただき、どうも有り難うございました。
ご参照いただけるとうれしいです。
今後も時々、論文からの役立つ情報を開示していきます。乞うご期待!
それでは、また!Ciao☆彡
【riepilogo di oggi 005】
・こどもたちの脳の発達や成長、病気を患った患者さまの脳の回復、改善には、あらゆる情報がつまった“豊かな(socoal, enriched)”環境が最適である!
・REHABxEducationsでは、豊かな環境を想定した「身体と環境との相互作用」を基本としている!
論文から教えてもらい、気づくことって、たくさんあるよね☆彡
※riepilogo di oggiは、英語でtoday’s summary、日本語では“今日のまとめ”のイタリア語です!
References
1)Rosenzweig, M. R. & Bennett, E. L. Psychobiology of plasticity: effects of training and experience on brain and behavior. Behav. Brain Res. 78, 57–65 (1996).
2)Kempermann, G., Kuhn, H. G. & Gage, F. H. More hippocampal neurons in adult mice living in an enriched environment. Nature 386, 493–495 (1997).