【認知】improvisation!

先日、Keith Jarrettにinspireされ“improvisation”についてのtweetをしました。
part 1~part 9まであるので、時間があれば確認して欲しいと思っています。

ちなみにimprovisationとは「即興」のこと
そして、Keith Jarrettは “即興の天才”と呼ばれ、今回引用している文章は、その最たるもののひとつである『Koln concert』について言及したものになります。

…ひとりのアーティストが、雰囲気や聴衆や場所や楽器によって支配される自由な創造の意味――そういった条件はことごとくアーティスト自身からひきおこされ、諸条件にはねかえるものであるから、成功と失敗はいつにかかってアーティスト自身にあるという真実を確認することが、私に対するこの試みの意味であると言える。
(中略)
このアルバムのコンセプション、意図は単純である。私のすべてのコンサートと同様、ここに演奏されたものは、私が以前に一度も演奏しなかったものであり、今後もこの通り演奏するものではない。妙なカテゴリーにはめこまなければ、今までつくられたことのない種類の音楽であり、やがて一般化されることが望ましい音楽である。

いったん録音された音を編集でカットするようなことは一切しなかった。

道徳的考察 = 私は顕示を目的とするエレクトロ・ミュージックに対する反対運動を続けてきたし、今でもそれを続けている。電化音楽はわれわれにとって日常のものとなったが、音楽は電線によってふりまわされるべきものではない。

最後に私は、自分の目的としているもの、理想としているものについて、自分自身の立場を鮮明にしておきたい。私は『芸術』を信奉しない男だ。その意味で私はアーティストではない。私は私が生まれる前に存在した音楽というものならある程度信ずる。その意味で私はミュージシャンとはいえない。私は人生を信じない。しかしこの問題を本当に深く考えた人なら同じ結論に達するであろう。私は自分で創造できる男だとは思わない。しかし創造への道は目指しているつもりである。私は創造の神を信ずる。事実このCDの演奏は、私という媒体を通じて、創造の神から届けられたものである。なし得る限り、俗塵の介入を防ぎ、純粋度を保ったつもりである。こうした作業をした私は何と呼ばれるべきであろうか。創造の神が私を何と呼んでくださったか、私は覚えていないのである。
(Koln concert/Keith Jarett)

場の雰囲気、凛とした空気!



あなたは『Koln concert』聴いたことがあるだろうか?是非、1度聴いてみて欲しい!
Keithの指先からは、鍵盤と一体化した指遣いでこの世界のすべての音を紡ぎだしているように聴こえる。彼の息遣いが、聴衆のそれと同期している。これが、彼の“場の雰囲気”なのだと感じ、そんな音の世界に引き込まれていく。これがKeithという身体を媒介として、創造の神から届けられた音楽なんだと実感してている。そして、僕の身体は共鳴して震える。“凛とした空気”が僕を包む!Keithのピアノはやはりスゴイね☆彡

イタリアSantorsoのそれを思い出す!



“それ”と書いたが、もちろん”臨床”のことである。ひとりのセラピストが、患者や雰囲気や場所や道具によって支配される自由な創造の意味――そういった条件はことごとくセラピスト自身からひきおこされ患者の脳や身体を通じて、諸条件にはねかえるものであるから、患者の回復の成功と失敗はいつにかかってセラピスト自身とそして志向性を同じくする患者にあるという真実を確認することが、僕のリハビリテーションに対する試みの意味であると言える。

訓練室は創造の宇宙だ!



どんなに騒がしくてもそこにはセラピストと患者の“宇宙”がある。患者の変化に柔軟に対応できる創造のimprovisationが必要なのだ。その宇宙には悠久の時が流れている。そしてセラピストと患者が訓練室と言う名の宇宙で一体化した瞬間、患者の麻痺していた手が動き出す!最初は稚拙なピアノを奏でる指先のように…そして、だんだん患者の指先はハーモニーをリズムを取り戻していく!Keithのことばを借りれば、これこそが“創造の神から届けられたもの”であるのだろうか。
この瞬間に立ち会うために、この瞬間に立ち会える喜びのために、僕は訓練室と言う宇宙で患者と対峙し、一体化したその瞬間の“即興”に身体を震わせるのである。

僕らの治療訓練はさまざまな知識をmixtureして紡ぎだされるものであるが、それはある規格化されたものではない。ひとりひとりの患者の身体を介し、思考を知り、一体化していくセラピストと患者だけが創造できるものである。これからも、その瞬間に立ち会いたいし、教員としてはそこに立ち会えるセラピストを創造したいと願う。

今日も最後まで読んでいただき、どうも有り難うございました。
この投稿は、あなたにとって有益になるかどうかわかりませんが、僕の仕事に対する情熱は伝わったかな…Grazie mille☆彡

【聴いて欲しい音楽】
・Keith Jarrett:KOLN CONCERT(1975)※視聴できると思います。
【読んで欲しい記事】
ザ・ケルン・コンサート(wikipedia)※過酷な演奏の状況を知ることができます。
最悪の状況から「最高の音楽」が生まれた神秘 キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」(東洋経済)2018

投稿者: コージーニ先生

リハビリテーションセラピストです。現在までに約15万人の患者、その家族及び学生と保護者とかかわりを持ってきました。その経験から患者とその家族&子どもたちと学生たちとの人生に寄り添って感じたこと、学んだことの中から「過去の僕」に知っておいてほしいコト&「未来のみんな」に伝えたいことを呟きます。 著作や詳しい活動履歴はこちら→ https://kojini'sblog.com/about

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